【拠点目標】
GXの実現に必須な「化学」分野でのブレークスルー

※GX(グリーントランスフォーメーション)とは、化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体を変革することです。

ケミカルGX研究拠点は、横浜国立大学の触媒化学・電気化学分野の若手研究者(本倉・上野・信田)が中心となり2021年に結成された若手・中堅による研究拠点「カーボンニュートラル研究拠点」を発展させ、正式なYNU研究拠点として2023年に発足しました。本拠点では、GXの実現にまずは必須である「化学」分野でのブレークスルーを目指します。

具体的には、カーボンニュートラルに資するCO2の触媒的変換反応、電気・光エネルギーを駆動力とする物質生産・分離技術、再生可能エネルギー由来電力を活用した化学プロセス、さらに炭素・窒素・ケイ素等の元素循環に資する化学反応の開発を目指します。これらの研究を基礎から支える学理構築のため、材料科学・界面科学・計算科学の研究者と連携して活動します。

例えば、CO2を有価値物質へ変換するには、エネルギー投入と反応加速・選択性制御が必要です。前者は光・電気化学によって、後者は触媒化学によって実現することができるため、複数の分野の知識が必須です。これに加えて、エネルギー源としての再生可能エネルギーの活用、反応中の触媒の観測や計算化学による予測、最適な触媒・電極材料の開発など、複数の分野の研究者の連携が必要となります。

さらに、持続可能な社会の維持には、炭素の循環に大きな影響を与える他の元素の循環、例えば窒素資源やケイ素資源の循環を合わせて考慮する必要があります。具体的には、化石資源の燃焼によるNOxの放出や、大量のエネルギー投入で生産される金属ケイ素が挙げられます。NOxをアンモニア資源へと変換する触媒や、廃棄ソーラーパネルに含まれるシリコンを有効活用するための触媒開発によって、炭素だけでなく、人為活動によって化学変換された他の元素の循環を成立させ、エネルギー消費を抑えた地球環境の構築を目指します。

窒素酸化物をアンモニア資源へ変える触媒:
https://doi.org/10.1039/D2CY01793H
シリコンによるCO2資源化反応:
http://doi.org/10.1038/s42004-022-00767-4
http://doi.org/10.1002/ajoc.202200230
http://doi.org/10.1039/D1YA00077B